価格を考える
- 横田潤一郎
- 2015年12月15日
- 読了時間: 4分
今野菜がめちゃくちゃ安いですね。

業務スーパーではキャベツが58円で売られていました。
高温が続き生長が早く、一気に出荷せざるを得なくなり、供給量が増えすぎています。
消費者の一時的な感情で言うと、価格が安ければ安い程良いと言うのは分からない訳ではありません。
実際、私も価格の魅力に負けて色々買ってしまうことがあります。
ただ、安いには理由があると言うことも、忘れてはならない事。
先ほど述べたように、今の野菜の常軌を逸する価格は、育てていた野菜が早く出来すぎてしまった為です。
キャベツなど葉菜類は、トマト等の果菜類と違い、取ってしまったら終わりなのです。
種をまいた量が一定なら、商品になる量も一定。
つまり、期間を空けながら出荷する物が一時期に固まって出てしまっただけです。
であれば、本来出すべき時期に品不足になり、価格が上がってくるのは必然です。
年明けには野菜が高いと、ニュースで色々言われてしまうのでしょうね。
そもそも価格にはその値段であるべき理由があるはずです。
原価はもちろんのこと、会社を維持するための経費、社員のお給料、商品開発などの投資資金などなど。
良い商品を継続的に提供し続け、社会に貢献するのが本来の会社の使命のはずです。
正しい値付けが出来なければ継続的に社会に貢献する事が出来なくなります。
この観点から考えると、安売りする事が消費者の為に最高の事だとは決して言えない訳です。
無理な値下げを続ければ、会社ばかりでは無く、結果として消費者までもが不幸になってしまいます。
冒頭の野菜に帰って考えても、今シーズンだけで考えても年明けには普段よりも価格が上がる。
長期的に見ていけば、利益の出ない産業に参入したいと思う人が減り、日本の農業の担い手が減る。
すると常態的に国産野菜不足に陥ります。
必然的に価格が上がってきます。
では、TPPの恩恵を受けて輸入野菜を食べようと言うことになるかも知れませんが、
輸入野菜にも色々なリスクが伴います。
世界的な異常気象の影響で、輸出制限がかかる危険性。
猛暑の影響でロシアが小麦輸出停止を行った事は記憶に新しいですね。
食料不足の中、自国の国民を飢えさせて他国の為に食料を輸出してくれる国は少ないと思います。
また世界人口の増加も食料問題に大きな影響を及ぼします。
総務省の統計によると、
1950年に25億人だった世界人口が、
2015年現在、73億人。
2050年には95億人になると予測されています。
100年で人口が4倍近くになるのに対して、地球の面積は100年経っても増える様子がありません。
作れる量が一定の中、人口が増えればどこかに無理が出て来てもおかしい事では無いと思います。
食料が不足した場合、他国に分けてくれる国はあるのか。
今輸出してくれている発展途上国の国も、経済状況が良くなり、日本よりも豊かになっている可能性もあります。
お金すら通用しなくなった場合、農業の担い手の減ってしまった日本は何を食べれば良いのか。
その他にも考えられるのが、為替リスク。
今の120円から大きく円安に振れてしまうとどうなるのか。
TPPでいくら関税が無くなっても、1ドル200円、300円になれば、野菜の価格がとんでもなく上がってしまいます。
これらの問題は杞憂に終わる可能性もあります。
ただ、杞憂に終わらず実現化してしまった場合、中々大変な事になります。
食べ物が無ければ、そのまま生命の危機に瀕してしまいます。
車が無くても、テレビが無くても、スマホが使えなくても、すぐ死に至る事はありませんが、
食べなければそのまま死に近付いてしまいます。
現在の食料自給率は、カロリーベースで39%
1人1日当たり国産供給熱量(947kcal)/1人1日当たり供給熱量(2,415kcal)=39%
(農林水産省HPより)
これは、海外から食べ物が入って来ないと、100人中61人は飢えて死んでしまうと言う数値でもあります。
現在の野菜の価格をみて、そんな事を思った本日でした。
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