top of page

ダウンシフターズ

  • 横田潤一郎
  • 2016年7月4日
  • 読了時間: 4分

ダウンシフターという言葉をご存じでしょうか。

「ダウンシフター」という概念は、米国の経済学者ジュリエット・B・ショアの著書『浪費するアメリカ人』(2000年、岩波書店刊、森岡孝二訳)に登場します。

髙坂勝さんの『減速して生きる ダウンシフターズ』という本を拝見し、この考えがあることを知りました。

自分らしい生き方にギアチェンジした 減速生活者/ダウンシフターズ

そもそもダウンシフターズとは何か。

仕事や生活のペースを意識的に落として、人生の充足感を得るようなライフスタイルを実践している人々。

例えば著者の方は、30歳まで大手小売業で働いておられました。

当時の年収は600万円。

仕事はほどほど楽しかったし、満足ゆく収入と肩書きがありましたが、一方で、ストレスの多い日々だ

ったと振り返っておられます。

一方現在は、池袋の片隅で、6.6坪ほどの小さな飲食店『たまにはTSUKIでも眺めましょ』を営んでおられます。

営業時間は18時~23時30分で週休2日。

手間の割に利益の少ないランチタイムは営業を行いません。

集客活動も行わず、ほとんどが口コミのお客さん。

それでも赤字に至った事はなく、年収は約350万で、5~15万程は毎月貯蓄に回せる程だと言います。

大きく儲かりはしませんが、好きなように商売して、ストレスもなく、大きな悩みもなく、夢が少しずつ実現されておられます。

お金という尺度だけでみると、600万→350万とダウンしています。

しかし、生活のペース自体もダウンする事ができており、お金という尺度だけで計ることの出来ない価値を生み出しておられます。

「過度な消費主義から抜け出し、もっと余暇を持ち、スケジュールのバランスをとり、もっとゆっくりとしたペースで生活し、子どもともっと多くの時間を過ごし、もっと意義のある仕事をし、彼らのもっとも深い価値観にまさに合った日々を過ごすことを選んでいる」(同書より引用)

ヒマな店を目指す

『たまにはTSUKIでも眺めましょ』では、繁盛しないことを目標とされています。

常に満席で忙しかったら、お客さんとコミュニケーションを取ることができない。

メッセージを伝え合うにはヒマでなければ困るとおっしゃっています。

通常ならば、少しでも多くの売上をと考えるところ、まったく逆の考えです。

それを稼がない自由という言葉を使って表現しています。

「たまTSUKI(たまにはTSUKIでも眺めましょの略称)が継続可能なのは、ビジネススタイルとライフスタイルを融合させているからです。

巨大市場システムから片足を抜いた私は、生活実費が少なくなった分だけ収入を減らしても大丈夫。

といっても、石器時代の生活をしているわけでも、江戸時代の生活をしているわけでもありません。

限りない欲に、サヨナラしただけです。そのほうが幸せだからです。

しっかり稼ぐのも自由ですが、ある程度で満足して、それ以上は稼がないという自由もあるのです。」

(同書より引用)

例えば、不必要な物を取り除く一方、趣味など自分の価値基準に合った豊かな暮らしを満たす一ヶ月の想定出費を月25万円と計算します。

それを1年間にすると25万円✕12ヶ月=300万円。

この300万円を実現する為の経営計画を立てます。

飲食店これを実現するためには、約1,000万円の売上が必要となります。

これを1ヶ月の売上にすると約80万。

週休1日でで労働日数は約25日。

1日単価は80万÷25日=3.2万円になります。

客単価が4000円だとすると、1日8人のお客さんがきてくれれば達成出来る数字になります。

この数字に達しなければ反省し、改善する必要があるのは当たり前ですが、

目標数字を超えた場合も、反省と改善が必要だというお話が書かれています。

ローカルビジネスこそ必要な考え

政府方針もあり、地方創生や地方移住の言葉を聞くようになった昨今。

地方でビジネスを興す時こそ、この稼ぎすぎないという考えが大切になってくるのでは無いかと感じます。

地方でビジネスを興すのであれば、金額面で都会を上回るメリットは少ない。

ならば、金銭意外の価値にフォーカスしたダウンシフターの考え方は、非常に重要な指針になるのではないでしょうか。

また、稼ぎすぎないという考えは、リスクを下げるという面においても大きな力を発揮します。

売上を上げると言うことは、それだけ投資金額を増やすと言うことにもつながります。

販売であれば仕入れを多くしなければならないし、人を雇わなければならないかもしれません。

お店の売上を上げるために、店舗のリフォームがいるかもしれません。

しかし、必要以上に稼がないと言うことであれば、それだけ投資金額も減ってきます。

継続可能という面でみていくと、大変優れたシステムなのではないかと感じました。

髙坂さんのおっしゃっている事を上手く伝えられたか不安ですが、ご興味のある方は、

「減速して生きる ダウンシフターズ」一度読んでみては如何でしょうか。

新しい生き方のヒントになるかもしれませんね。

Comments


特集記事
最新記事
アーカイブ
タグから検索
ソーシャルメディア
  • Facebook Basic Square
  • Twitter Basic Square
  • Google+ Basic Square
bottom of page